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オリカビ小説 Prism

本編とは違う、オリカビ達のお話。

Prism ~5.ケガの功名~

「俺のアメちゃんをなめんなよっ!!」

ウィルさんはその棒付きアメを振り回しながら光の速さで敵を次々と倒していった。
あんなに大きい物を持って走っているなんてすごい体力だ。

「フン、俺にとっちゃあ手下なんかどうでもいい。それよりもこのチビを手に入れれば…」

「!?」

ウィルさんが手下と戦っている間に、敵の中心のリーダーが僕を捕まえた。
大きな刀を突き出されて、今にも刺さりそうだ。怖い…。

「いつの間に!お前、何のためにミラさんを…?」

「そんなことは知ったこっちゃねぇ。俺はボスからこの青いチビをつれてこいと
命令を頂いたからその通りにしているだけだ。」

ボス?そのボスが僕に何の用だろうか。まさか殺されるなんて事…。ないよね?

「は…なせ…。」

その時、ウィルさんはまた光の速さで敵のリーダーの刀を捕った。
なんと、ウィルさんの手に刀が食い込んでいる。刃の部分もまるごと。

「お、お前手が切れるぞ…!?」

「ウィルさん、手を離して!!ぼ、僕のことはいいから!」

あまりにも刀をつかんでいるウィルさんが痛そうで、僕は叫んだ。

「ミラさん、ありがとう。でもぜんっぜん痛く…無い!!」

ボカッ!!

「うがぁ!!!」

その時、ウィルさんは思い切り足で敵のリーダを蹴り飛ばした。
敵のリーダーが刀に目を向けて気がそれている事に、ウィルさんだけが
気づいていたらしい。

「よかった、敵は全員気を失ったみたいだね。」

ウィルさんはニコッと微笑んだ。

「手は…大丈夫ですか?」

「あ~大丈夫大丈夫!アハハッ…いてて。」

「全然痛くないとか言って…傷が深いじゃないですか、見せなさい。」

モルセラさんがいつの間に、救急箱を持ってきていた。
さっきからいなかったのはこれを持って来ていたからなのかな?
…それにしても、自分の手をケガしてまで助けてくれたウィルさん。

「あの、助けてくれてありがとうございました。僕のために…。」

「あぁ、どってことないさ!それに今君がいなくなっちゃったらせっかくのモルセラさんの
俺への依頼が出来なくなっちゃうからね!」

「は、はぁ…。」

「…さっきの敵の連中はミラさんを狙っているようだね。気をつけたほうがいいぜ。
あのリーダーっぽいの、あの調子だともっと強い手下連れてきそうだしなっ」

ケガの手当てが終わった後、ウィルさんは僕の身元調べをしてくれた。

「調べてみたけど、この町には誰もミラさんを知っている方はいなかったみたいだ。」

「そうですか…まぁミラは本名も分からないわけですからね。」

「これはある意味事件と言えると思いますよ、モルセラさん!
俺、この事件の情報をこれからも探して行こうと思います。
何か見つかったらまた連絡しますね!」

ウィルさんは、包帯の巻かれた手に力を入れて張り切っている。
僕はこの手に助けられたのだ。

「ありがとう、ウィル。ではこれで私達は次の場所へ行こうと思います。
次にまた会えるまで、お元気で。」

「いやぁ、、俺はいつまでもモルセラさんを忘れちゃあいませんからっ!!
たとえ全治2ヶ月の大ケガをしようとも…」

「さぁミラ、行きましょうか。」

「あぁあひどいモルセラさ~ん!!あ、ミラさん!モルセラさんの右腕は俺だけだからね!!」

「…はぁ…。」

ウィルさんは見た目通りとても子供っぽくて、その心はとても勇敢だった。
最後に僕は、ウィルさんにたくさんの棒付きアメをもらって、広場を出た。

しかしこのアメ、急にでかくなったりしないか少し心配…。

Prism ~4.情報屋~

僕とモルセラさんが歩く道の横を時々カービィが通りすぎる。
モルセラさんは一度立ち止まり辺りを見渡した。

「この細い道を通りますよ。せまいから気をつけて。」

そう言ってから、僕達はその細い道へ進んだ。
モルセラさんがやけにしんちょうそうだったのは気のせいだろうか。
細い道を抜けた場所は、小さな広場。中心に円い噴水がある。
見渡すとさっきの細い道以外、何一つ他の道がない。

「モルセラさーん!!ご無沙汰しておりますー!!」

誰の気配もしないその広場に一人噴水に腰掛けていた
そのカービィがこちらへ駆けて来た。見た目、配達員員のような姿をしている。
頭には帽子をかぶり、小さなポシェットを持って、棒付きアメをくわえているようだ。

「ウィル、噂は聞いていますよ。配達試験の監視員を蹴とばしたとか…、
全くとんでもないことをしでかしたようですね。」

「モ、モルセラさん、久しぶりの一言がそれっすか?!
それにしても、そのことは監視員に無かったことにするよう言っておいたけどなぁ…
…えっと、その青い子は?」

青い子、というのは僕のことだろうか。

「この子はミラ。事情があってこの子の身元を探しているのですよ。」

モルセラさんは僕のことをそう説明した。
もしかしてウィルさんに会いに町へ来たのは、僕の身元を探すためだったのだろうか。

「へぇ…。俺はレータ・ウィルソンって言うんだ、配達屋ってのをやってる。
ウィルって呼んでくれ。よろしくなっ」

ウィルさんは初めての対面なのに敬語でないところが、少し親近感をわかせる。

「さて、ミラの身元調べの件ですが…」

言葉が途切れたかと思うと、モルセラさんはバッと後ろを振り向いた。


「気配だけで感づくとはやるな…。」


何者かの低い声が聞こえた後、あの細い道から、6人ほどのカービィ達が出てきた。
1匹ずつ銃などの武器を持っていて、中心のカービィのみ大きな刀を持っている。
なにか、嫌な予感がする。

「その青いチビをこっちによこしな!!」

中心のカービィが、刀を突き出して言った。僕は狙われているようだ。

「ウィル、お願いします。」

「任せてくださいよ!あんな奴ら、ぶっ飛ばしますよ、ハハハッ!」

ウィルさんはポシェットから1本の棒付きアメを取り出し、なんとそれを
体の約3倍ほどに巨大化させた。一体どんな仕掛けになっているんだろう。

「…!!もしやお前は表で町一の配達屋と名乗り、裏では町一の情報屋の実質
を持つレータ・ウィルソンか…。」

中心のカービィが言った。
ウィルさんは世間で知られるほどのカービィだったんだ。
それにしてもこの6人のカービィ達は何者なんだろう。

僕を知っているようだし…。

Prism ~3.町~

一段落したところで、僕とモルセラさんは町へ向かった。
僕はモルセラさんの背中を追うように付いていく。
こういうことを考えるのは何だが、モルセラさんは本当に綺麗だ。
華やかなオーラが歩き方にもにじみ出ている気がする。

しかし、話してみるとモルセラさんは声が渋かった。
男…なのかな?そうだとしたらオカマとしか…。
気になるなぁ…聞いてみようか。でもこんなこと聞いていいのかな。

はっ、僕はなんてことを考えて…

「ミラ。」

「!!」

「何故そんなに驚いて…まぁいいですが…。
これから私の知り合いに会いに行こうと思っているんです。」

モルセラさんはそれだけ言って、また歩き始めた。
その知り合いというのはどんなカービィなんだろう。
でも、そのモルセラさんの知り合いに会えば、何か聞けるかもしれない。

歩いて、歩いて、足が疲れてきた。歩くスピードが早いまま変わらないせいだ。
そう考えているうちに、目の前に光が見えてきた。
僕が目覚めた時の、あのくらむような光には負けるが…。
モルセラさんは光が見えてきたとたん走り出し、光の中へ消えていった。
そして僕もあわてて光の中へ。まるで光に吸い込まれていくようなような感覚。

「おつかれ。もう森からは抜けましたよ。」

歩いていた時のあの真剣な顔からは信じられない、満面の笑顔だ。

「ちょっと待っていてください」

モルセラさんは少し僕から離れ誰かと連絡をはじめた。
何を話しているかは聞こえないが会話の相手は多分さっき言っていた知り合いだろう。
僕はその間地面の石ころをけったりしていた。

「お待たせしました。…本当は瞬間移動を使った方が移動が楽なのですが…。
なるべく力を使いたくない。ミラ、まだ歩けますか?」

「大丈夫です。」

瞬間移動…!?そうだ、魔法が使えるんだっけ。

「よかった、歩いているばかりでは疲れますからね。では迷子にならないように。
町中は怪しい者がうろついていて大変危険なんですよ。」

迷子…か。僕は相当子供扱いされているようだ。

Prism ~2.ミラ~

しばらく歩いていくと、草むらは徐々に無くなっていき、地面が現れ、道になっていった。
さっきよりも歩きやすい。
そしてモルセラさんは足を止め、僕に確認するように言った。

「ここは私の休憩所です。入りなさい。」

その休憩所というのは、小さいレンガ造りの家。いや、小屋なのか?
扉を開けてまず目の前にあったのは、なんとコタツ。
ちなみに上に乗っかっているのはミカン。

意外だった。レンガ造りの家といったら、エントツとかたき火とかあるイメージだが、無い。
かといって、和風でもなく…。

「テレビでも見ますか?歩いて疲れたでしょう、コタツに入りなさい。」

「はい…、?!」

あることに気づいた。この家(?)には電化製品がある。
コタツやテレビ、さらに冷蔵庫や電子ピアノなんかも置いてある。
ここは森の中のはずなのに。

「…どうかしましたか?」

僕はコタツの傍を探し回った。どこにもコンセントは無かった。
冷蔵庫の後ものぞいたが何も無い。
この家の電化製品はどうなっているんだ。気になる…!

「あぁ。電気なんか使ってませんよ…?」

モルセラさんは僕の考えていることが分かったようだ。

「じゃあどうしてコタツや冷蔵庫が…?」

「太陽光発電です。いやぁハハハ、エコですよエコ。」

「そうなんですか?この森って光が当たらないうような…」

「…冗談ですよ。魔法です。」

「ところで…あなたの名前を聞きましょうか!」

やけにモルセラさんがニコニコしている。もしかして名前が気になっていたのだろうか。
魔法…僕はたった今魔法のことを聞こうとしたのに…。
僕の名前?そんな事は覚えていない…。僕の名前はなんと言うんだろう。

「まさか自分の名前が分からないとでも?」

また考えが察知されたようだ。僕はうなづいた。

「…はぁ、なるほど。では私があなたの名付け親になりましょう!」

またモルセラさんはニコニコした。そんなに楽しいかな。
しばらく沈黙して、ハッと顔を上げたモルセラさん。

「そうだ!「ミラ」なんてどうでしょう。」

「ミラ?」

なぜその名前にしたのかは分からないが、どっちにしろ名前があったほうがいいし
個人的にいいかも…しれない。

「これからもよろしく、ミラ。」

僕に新しい名前が付いた。

Prism ~1.静かな森~

光が当たっている。
僕は目を閉じていたがそれだけは分かった。
この光は一体…それを知りたくて目を開いた。
しかしそこに光はなかった。

日も当たらない、静かな森。

僕には今までの記憶がない。
あのときの光のことしか覚えていない。
どうしてこの森にいるのか。
全てが分からない。疑問だらけ。

「此処はどこ?」

不思議と口から声がこぼれる。
「言葉」は知っているし、「文字」も知っている。
この世界に色々な物があることも知っている。
そういえば、思い出そうとすれば物の名前があふれるほど頭に浮かぶ。
でも物に対しての感情が出てこない。好き、嫌い、おいしい、まずい…。
いや、そんなことよりとりあえず誰かを探さないと。自分を知っている者がいればきっと…。

森に人がいないことは知っているから、森からの脱出を試みることにした。
森はとても暗いが、別に恐怖感はなかった。
ひたすら、ただひたすら目の前を隠す草むらを分けながら進んでいく。

「…?」

足音なのだろうか?草むらが揺れ、ガサガサと鳴っている。
さっきまで恐怖感は無かったはずなのに、なぜか怖くなった。
僕は様子をうかがいこちらの足音がばれないように足を止めた。

(こっちへ近づいてる…)

すると急に向こうの足音(?)も消え、気配が無くなった。
僕は安心してドキドキしていた胸を休める為にそこに座った。

安心したその瞬間!!

突然目の前の草むらがバッと開き、現れたのは少し僕より背の高いカービィ。
体は薄い水色に海のような色の足。
青いベールに包まれて、一見華やかな感じ。
包んでいる…というよりは何かを隠し持っているようだ。
そのカービィは僕を見ると、パッとにこやかな表情をした。

「びっくりしました。何かの気配を感じたので、もしやと思ったのですが。」

「…?!」

こちらこそびっくりだ。何が…って、容姿と声のギャップだ。
見るからに華やかでおしとやかな感じなのに、この声は渋い。渋すぎる。

「もしかしてあなたは此処で迷っている感じでしょうか?でしたら私が町へ案内しましょう。」

そのカービィは僕に手を差し伸べた。
迷ってなんかいない…。僕はただ…。どう言葉を返せばいいのか考えた。
一度、静かな空気が流れた。

「私はモルセラといいます。行くあてが無いなら、ついて来なさい。私を怪しいと思うなら…、勝手にしなさい。」

そういうとモルセラと名乗るカービィはずっと上げていた手を下げた。
確かに僕には行くあてもない。これからどうやっていくかということも分からない。
しかしこのモルセラさんについて行けば何か分かるかもしれない。

「僕も行きます。」

僕は勢い良く地面を踏み、立ち上がった。

Prism 簡易人物紹介

Photo

ミラ(男) 仮画像

目覚めた時の「光」のことしかほとんど記憶がない少年。
記憶が無いせいか、知りたがりなところがある。少し控えめ。

Photo_2

モルセラ(?) 仮画像

ミラの事を色々気遣ってくれる、見た目華やかなカービィ。
普段から敬語と礼儀は欠かさない。魔法が使える。
また、体を包んだ赤い服の裏には多量の武器が隠されている・・・とか。